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左から、若き心眼流家T哉君、南方伝承者・佐藤力先生、築館伝承者・佐藤治先生、八大武舘・谷田部

                           (平成20年頃撮影)

『柳生心眼流』(ヤギュウシンガンリュウ)

 

 柳生心眼流とは古くから宮城県に伝わる武術であり、

今でも割合身近に「俺、昔心眼流やってたんだ」と言う壮年男性が居るという

宮城では割合修行者の多い古流武術だったりします。

歴史的な事は類書に譲るとして(そんな事書き始めたら長くなりますし)、

 技術的特徴に関しては、以下に

『石巻功夫倶楽部 会報第41号』より一部抜粋して紹介する事にします。

尚、筆者は私です。


 
 柳生心眼流は関節技中心の日本の古流武術には珍しく、
打撃技法中心の武術である。

その力を付ける為に“素振り”と称される独練型(一人稽古)で徹底的に鍛え上げる事を特徴とする。

これは対人(二人組)で行われる稽古が中心とされる事の多い我が国の武術には大変珍しい事である。

 その“素振り”には大別して以下の種類が有る。

     1.初伝技(七本)  2.中伝技(七本)  3.上伝技  4.秘伝技

これらに適宜、居合刀法や棒術、各技の対練(対人稽古)等が組み込まれて行く。

 初伝の素振りが上達してくると、その動きを実際に使う為の“約束組手”を学ぶ。

この約束組手が“二人型(対人稽古)である。

 初伝技の対練には、簡単な物と比較的難度の高い物との二種類が有り、この難度の高い物が出来るようになると“中伝”の免許を貰う事が出来る。

 

 心眼流の戦闘法としては、空気が震える程の掛け声(気合い)を発して、

自分の精神を奮い立たせると共に、相手の度肝を抜き、両腕を振り回して連攻するスタイルを取る。

しかし単に両腕を振り回すだけではなく、その様な動きの中で相手の目を突き、腹部を蹴り込んだりしながら一挙に間合いを詰め、肘打ちを入れ、頭から落とすように地面に投げつけるという剛猛なものである。

 


 近年増加して世間に迷惑を掛けている未成年の犯罪者(オヤジ狩り等)などが相手ならば、最初の気合い一発で彼等の動きは固まってしまう程の迫力を待つ武術である。

その様な意味ではケンカに使い易い武術だといえるだろう。

だがその迫力は一朝一夕で習得出来る物ではなく、掛け声一つをとっても、身に付くまでにはやはり数年の修行が必要となる。

 又、気合いを掛けて己を奮起する練習は一見馬鹿馬鹿しいようだが、実は大変意味の有る事と思われる。

 昔から、

「普段から如何にも武術家然としている者は実は未熟者で、普段は武術をやっているように見えない者こそ本当の実力者である」

という言葉が有るが、正にその通りであり、上級者ほど普段はにこやかだが、何か事が有ると瞬間的に戦闘体勢に入れるものである。

この有事における集中力(変化の早さ)こそが上級者の特徴なのである。

 心眼流の稽古によって、気合いを掛けた瞬間、テンションを上げ、戦闘体勢に入る訓練をしていると、このような集中力が身に付くのである。

 必要な時に瞬時に臨戦状態に入れないというのは相手に遅れを取ることが多くなり、特に相手が凶器を持っているような時は致命的ですらある。 

先程紹介した心眼流伝承者に名前の載っている、私の系統の先生は現在80歳を過ぎて居られるが、未だに何か事が有ると突然走り出せる程の精神的瞬発力を持っている。

これこそが正しく武術を学んだ人間の理想の姿と言えよう。

 心眼流を学ぶ事によって、

そのような転換の速さを我がものとする事が出来るのである。・・・(後略)

 

 

というのが、私が一番最初に学んだ心眼流、鈴木専作伝の特徴なのですが、

心眼流も流儀によって特徴にかなりの違いが有るようで、他の心眼流を学んでみるとその違いに驚かされます。

今現在、当会の心眼流は、南方町の佐藤力先生・築館の佐藤治先生を師とし、佐藤長蔵伝の心眼流を中心に練習しています。

こちらの心眼流は、要点が非常に細かい事が特徴であり、素手で稽古している動きがそのまま刀(武器)の動きになるだけでなく、サイ、トンファー等を持っても使えます。

 

南方心眼流の力先生も、築館心眼流の治先生も共に深い伝承を受けている先生であり、心眼流の伝承の奥深さには驚嘆します。

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