第161講
≪それは、こんな理由で≫
土曜日クラスでは受け方(防禦)は足を止めて(足を動かさずに)行なっています。
足を動かせばもっと安全且つ楽なので、これはある意味非合理です。
しかし、あえてそれを稽古して貰う理由があっての事です。
正確な動作や力加減を学ぶ為(足の動きで誤魔化せない)、又、足を動かす事の出来ない状況にも対応する為です。
足の動き、つまり移動の力を借りずに攻撃を防禦する練習をしておいて、
いざ実際には足を動かせば小さな動きで難なく防禦する事が出来ます。
これも目的の一つです。
もっと簡便な防禦法はありますが、しかし、あの受け方を身につけておくと武器を持った時の動きにもなります。
その上、そのままの動作が護身術にも直結します。
土曜日のクラスは“基礎クラス”です。今述べた“受け方”に限らず、一見合理的でない動作を通じて、重要な事を身につけるのです。
対して日曜のクラスはもっと簡便な動作を練習している、という訳です。
2012,6,29
第162講
≪逆説≫
古い武術というのは、間合いが詰ると何でも出来ます。
なので現代の格闘の人が古い武術を相手にする時は、間合いに入れない、距離を保って戦う、事が必要です。
そういう戦い方は古い武術は比較的苦手です。
古い武術は打ちに合わせて懐に入って来ますから、そこを警戒します。
だから私の道場では、スパーリングなどの自由攻防に於いて先ずは武術の技にこだわるよりも、離れた間合いでの打ち合いに慣れる事から始めているのです。
離れた位置、距離を取られた戦いでもある程度の事が出来れば、後は間合いを詰めて技を揮うタイミングを逃さなければ良いからです。
順を追って稽古すれば、それも徐々に身につきます。
これがヒントになるのではないでしょうか。
古い武術はその辺りを疎かにして来てるので、そこをクリアする必要があるのです。
2012,8,31
第163講
≪だから練習しときましょう(笑)≫
私のしがない経験で恐縮ですが、ケンカというのは案外間合いが詰まります。
なので、試合やスパーリングでは使いにくい技、例えば手刀などが大変効果的になります。
2012,9,16
第164講
≪再び形意拳のハナシ≫
「形意拳を練習すると中味が出来る」
と言う先生も居られます。
確かに、形意拳を学ぶと動作や力がしっかりして来るものです。
これは、形意拳はシンプルな動作で出来ているだけにごまかしがきかないので、正しい動作をしなければならないから。
ではないでしょうか(笑)。
形意拳は套路(型)よりも単式練習を主体とします。
基本は五行拳という、五種類の打ち方を反復練習します。
徹底的に反復する事により、威力の養成と当てやすい動作を身体に染み込ませて行くのです。
そして、この動きの中に実際に使う際の用法を含んでいます。
(教えられないとなかなか気付くのは難しい部分ではありますが。)
最初は非合理な動作(打ち方)と感じられるかも知れません。
それは空手の“正拳突き”と良く似ています。
正拳突きは伝統的な空手では必ず練習させられます。
が、威力を出すのが思ったより難しいですし、フックの方が余程効果的ですから、お茶を濁す程度にしか練習しない事が多くなります。
しかし。
正拳突きを徹底的に修練した空手家の突きは読み難い(つまり防禦し難い)上、強烈な威力が有ります。
五行拳もそれと同じです。
ところで、その五行拳。
新しい打ち方(稽古方法)を考えてみました。
難しい力の打ち出し方を強調している事もあり、今まで気付かなかった所に気付くのではないかと思います。
その上、用法としても使い易いかと思います。
もう少し自分で練習してみて、良さそうであればみんなにも教えますね(笑)。
2012,9,22
第165講
≪購入した方が良い物≫
私の道場では稽古着、用具などの購入は強制ではなく、あくまで「必要な人は自由に買ってね」というスタンスです。
しかし、土曜クラスに参加している方には拳サポーターの購入はお願いしています。
スパーリングでしか使用しませんので、金曜の套路クラスのみに参加している方は購入の必要はありません。
まぁ、1000円位の物ですから、それほど負担にはならないんじゃないか?とは思っています。
金曜日は套路のクラスですから、どんな服装でも結構ですし、特別購入して貰わねばならない物はありません。
武器術の稽古を希望する方が、いずれ自分の物が欲しい、と思った時にご自分で武器を購入するのも自由です。
土曜クラスでは稽古着として空手や柔道の道着を使用している人が多いのですが、これも本当は何だって良いのです。
ま、普通のジャージ等と比べれば道着の方が耐久性がありますし、級が上がれば帯に色が付きますから、道着の方が見た目が良い、
という事はありますけれど(笑)。
スパーリングに参加する方は胴や金的ガード、脛当て、面(ヘッドギア)などの購入も各自に任せていますので、必要と感じる人は購入して下さい。
強制ではありませんが、出来ればマウスピースは有った方が安心です。
マウスピースは歯の欠損や舌を守るだけでなく、顎や首、頭への負担も減らしてくれます。
マウスピースなんて、“あんなもの”と思いがちだけど、あれ噛んでいるだけで顎や首に掛かる負荷が劇的に減ります。
なのでマウスピースの購入は勧めます。
ヘッドギアを購入する場合ですが、顔がすっかり隠れる物よりはある程度は顔の出ている物を勧めます。
全く隠れていると打たれる恐怖が少なく、顔面の防禦が甘くなる可能性があるからです。
また、首への衝撃が強くなり過ぎます。
とまぁ、「どうせ買うならこういうタイプの物を」というオススメがありますので、何か買おう、という方は
買っちゃう前に一度相談して貰えた方が安心だと思います。遠慮なく聞いて下さい。
・・・どーでも良い事なんですけど、私が以前使っていたマウスピースは車に積んでいたまま津波に流されたので、震災後、急遽ネットで購入。同じ物を注文したつもりなのだけれど・・・どうも使用に違和感がある。
しかも、そのマウスピースで舌を擦りむいたりする。
ええ? んなコトが有っていいのか?
買い替えかしら・・・無念っ!(笑)
2012,11,7
第166講
≪太極拳の練習方法≫
太極拳はボーっとやっていても妙な踊りにしかなりません。
運動量も低いです。
それなら套路に使う時間を縄跳びに充てた方が良い位です。
意識と動作を合わせる事が必要です。
でも、そんなコト言われても、どーしたら良いのか解りにくいかも知れませんね。
誰もが一番簡単に出来るであろう方法は、使い方(用法)を考えながらやるのです。
敵をイメージするのです。
流す、押さえる、掴む、打つ、蹴る、投げる、極める等しっかり意識して行ないます。
これをするのに正宗太極拳は大変優れています。
動作がシンプルですから。
その為には全ての動作の意味(実用法)を知っておく必要があります。
変化までは知らなくても良いので、基礎的な使い方は覚えて下さい。
意味が解らない動作は質問して下さい。
漫然とやらないようにして下さい。
用法を意識すると、使う為の身体遣いが出来ているか?も解って来る筈です。
この手・足の位置で使えるか?
体重はここで良いのか?といった事に気付くようになります。
太極拳や武術を通じて瞑想や覚り、というのはもっと遠くの話です。
動作を意識を一致させる段階を経ずに、そこには到達できないものと考えます。
最初からそこを目指すのであれば、座禅やヨーガの方が効率が良いです。
質問を受け付けます。
但し、門下生のみです。え、当然ですか? そりゃ、そうですね。
2013,1,20
第167講
≪内家拳ばかり人気が有るけれど・・・≫
身体は動かさないと錆びつきます。30代、40代以上の人は痛感しませんか?(笑)
(10代・20代の内なら普段これといった運動をしなくても、最悪に身体が動かなくなったりはしないでしょうが)
腕力の強さなんて物は、現代日本の成人には殆ど役立たないものなので、そんなものを目指さなくとも、
低い姿勢を取ったり、跳躍したりという動作をするのは良いことです。
日常生活でそういった動作は殆どしないでしょ?(笑)
久し振りに運動してみて、自分が動けなくなっているなぁと感じたら、そのまま放っておくのではなく、武術的全身運動をお勧めします。
普通のスポーツと違い、一人でも運動出来るのが優れものです。
少林拳など外家拳の型(套路)を軽く行なうのは、身体の老化防止にかなり効果が有る様に感じられます。
ハードに行なう必要は全くないですし、
(と云うより余りハードに動くとかえって運動不足の身体に負担が掛かりそうですし)
運動不足解消と身体の機能改善には一般的な太極拳よりも、外家拳を軽く行なうのが効果が高いように思います。
それと便通も良くなる様な感じはあります。試して損はないかも知れませんよ。
皆さんも是非どうぞ。
2013,12,12
第168講
≪秘伝・口伝≫
武術に秘伝・口伝という物は確かに存在します。
それを知っているのと知らないのとでは、大きな違いがあります。
戦術的な物、効果を高める物、工夫の仕方、等々、秘伝・口伝と言われる物は沢山あります。
しかし、それ以前に絶対的に必要な物が練習量なのです。
2013,12,13
第169講
≪武術をやりたいのか?武術家になりたいのか?≫
上の謎掛けの様な設問は、
「仏教を勉強したいのか?それとも坊さんになりたいのか?」
と言い換える事も出来る。
仏教を学ぶだけなら公開講座でもいいし、趣味の集いに参加しても良く、
又、本で独学でも学ぶ事は出来る。レベルはどうあれ。
しかし、僧として生きようとなれば話は違ってくる。
矢張り修行をして一通りの事は自分一人で出来る様にならねばならぬし、
修行の中から目の覚めるような体験もせねばならない。
師弟・人間関係で厳しい思いもしなければ本物にならない。
面伝口授もして貰わねばならない。
武術も同じである。
武術を楽しめれば良い、生活の潤いにしたい、というのであれば話は簡単。
けれど武術家になるのであれば、様々な経験が必要になる。
師弟のキッツい人間関係も経験した方が良いし、
師匠の道場の運営の仕方や弟子の扱い方などを見て、
自分の真似する箇所、反面教師とする箇所など学ぶ事が出来るのだから。
2014,2,10
第170講
≪個人指導のご注意≫
道場に通う事の出来ている人が個人指導に来る際は、具体的に目的を持って来て貰うのが良い様に思います。
例えば、「心眼流の組取の相手をしてくれ」とか、
「○○の攻撃にはどの様に対処したら良いか」とか、
「この技の力の打ち出し方を教えてくれ」とか、
「前に習った○○がうろ覚えだから教えてくれ」といった具合に。
最初(ハナ)から個人指導で習っている人や、
月謝を支払っているにも関わらず仕事などで道場に来られないという人は、個人指導で一つずつ順を追って進めば良いのですが、
毎週それなりに道場に通えている人がただ個人指導を受けに来ても、道場で教えている事の繰り返しになるだけの可能性があります。
出来てなきゃ進まないのですから(笑)。
わざわざ余計な時間とお金を使うのは勿体ないでしょ?
2014,3,12