太極拳の健身効果
このHPでは太極拳を初めとする、武術の実戦的側面についての記述が殆どで、
健身(健康)効果の側面からの記述が有りませんでした。
・・・全く気が付きませんでした(苦笑)。
それでは余りに片手落ちなので、ここでは武術の健康面での効果をお話してみたいと思います。
太極拳を初めとする武術の健身効果には、本格的な研究論文が沢山出ていますが、
ここではあくまで、日々の稽古と指導の中で私や生徒さん達が経験した事に絞ってお話したいと思います。
“武術”と云っても多種多様です。動きの速いもの、ゆっくりなもの。
速い動きの武術を練習する人は、総じて若くて健康の心配のない人でしょうから(笑)、
ここでは健康目的で稽古する人が多いゆっくり動くもの、特に太極拳の健身効果について説明致します。
先ず血行不良に効きます。
血行の悪い事が原因で起こる不具合、
例えば冷え性、痔、体のこり、などに効果が高いです。
毎年しもやけが出るという方が入会し、稽古したら、その年からしもやけが出なくなったそうです。
良く「太極拳をやっていると、体の中からじわっと汗をかくみたいだ」と言う位、血行が良くなります。
体の歪みを直すのに効果が有ります。
背骨、骨盤を初めとする体の歪みは色々な病気を引き起こします。
腰や背、足などの体の痛み、こり、頭痛、内臓の機能低下、生理不順、冷え、集中力の低下まで、
少し挙げただけでもかなりの数に上ります。
体を真っ直ぐに立て、左右の捻りを使う太極拳は体の歪みを直すのに効果的です。
下手な整体に掛かって高いお金を払うより、自分で出来る太極拳の方が
場合によっては余程良いかも知れません。
また、運動不足から来る膝痛、腰痛などにも高い効果が有ります。
運動不足で膝痛持ちだった方が、一度稽古に参加して治ってしまった事がありました。
かく言う私も、無理な蹴りの稽古による酷い腰痛を持っていたのですが、
太極拳を始めて半年程でかなり痛みが出なくなりました。
痩身効果が有ります。
痩せる為には有酸素運動を20分以上続ける事が効果が高いそうです。
太極拳は有酸素運動ですし、ものによりますが一通り套路(型)を行うと15~30分掛かります。
準備運動と套路を一通りやる事で、十分な運動量を得る事が出来ます。
自分の身体を触って、“近頃ぷよぷよして来たな~”と感じた人は始め時です(笑)。
不眠やイライラに効果が有ります。
適度な運動をする事で、精神的ストレスの解消になります。
人は適度に体を動かさないとストレスで駄目になる様です。
座ってばかりの仕事の方ほど、ストレスが多いようです。体を動かす事はそのストレスを解消してくれます。
体力に合わせて加減できる。
人それぞれの体力に合わせて強度を加減できるのが、太極拳の良い所です。
例えば高齢や入院などで足腰の弱っている方は、余り腰を低くせずに高い姿勢で動くと良いのです。
そのうち足腰に力が付いて来ますから、そうしたら少し腰を低くする、といったように、
体力に合わせて徐々に運動の強度を高くして行けば良いのです。
続ける内に、自分でも驚く程足腰が強くなり、体力が付いている筈です。
誰にでも無理なく取り組む事が出来るものです。
また、太極拳は気功法の要素も兼ね備えています。
そしてこれらの事は太極拳に限らず、八卦掌、形意拳などにも同様の事が言えます。
病気は“なってから治す”よりも、
“予防が大事”だと思います。
皆さんも機会が有ったら、是非おやりになってみる事をお勧めします。
又、中国拳法は、体質改善にも効果が期待できます。
昔、八卦掌の名人が、
「形意拳や八卦掌を長年稽古すると、体質も改善される」
と言っていたのを読んだ事があります。
その時は、“ふーん、そんなものかなぁ”と思っただけなのですが、
本当に効果が有るようです。
私ごとですが、20歳位の頃に酷い花粉症を発症し、
それ以来毎年、杉花粉の季節には苦しめられるようになりました。
市販薬などでは“飲まないよりマシ”といった程度の効き具合で、
鼻水は勿論、顔面は真っ赤に腫れ上がり、耳や喉のかゆみにも
苦しめられていました。息苦しくて寝られない所か、
毎朝目やにで瞼がくっついて目も開かないという酷い状態でした。
「注射が効くよ」と教えられ、病院へ行って注射を打って貰うようになり、
注射さえ打って貰っていれば症状は出ませんでしたが・・・
あの注射というのは、副作用がまだ解明されてないらしいですよね。
そんなどうしようもない程大変だった花粉症でしたが、
しかし、この数年は病院へもかからず、市販薬も飲まずに
平気で花粉の季節も過ごすようになりました。
嘘のように平気です。
これは拳法が効いて来ている可能性があります。
体質を改善する、というのは容易な事ではなく、
4~5年程度の稽古では変わらず、体質が変わるまでには
10年以上の年月がかかるでしょう。
しかし、続けさえすれば効果はきっと現われます。
私が証人です(笑)。これは自信を持って言えます。