『八卦掌』(ハッケ・ショウ)
八卦掌は形意拳と異なり、曲線(円)で構成されている武術です。
即ち、相手との力の衝突を避け、相手の死角に入り込む事を目的としています。
八卦掌は先攻にせよ後攻にせよ、相手の隙を上手に作り出して攻める武術です。
(まあ、武術は大体がそうだと言えばそうなのですが。)
しかもかなりトリッキーであり、左から打つと見せて右から攻撃を入れたり、
正面から打って来ると思わせておいて後ろから当てたり(これがテキメン当たるんです)、
打って来る手に思わず気を取られた途端足を掛けられたり・・・と、
一寸これを読んだだけでも、随分変則的な拳法である事が想像出来るだろうと思います。
又、八卦“掌”と言うだけあって、拳骨よりも手の平を多用した技が特徴です。
円周上を歩いて稽古すると言っても、
相手と対峙した時に相手の周囲をぐるぐる廻って歩く訳では有りません。
そんな事をしたら、一瞬で間を詰められてしまいます。(笑)
また、套路や手形から、多くのコツを得る事が出来ます。
当会では、套路は老八掌と龍形八卦掌を中心にして、
截脚や六十四散手などの対錬套路、約束・自由攻防などの対錬を多く稽古し、
八卦掌の特徴的なスタイルを身に付けて行きます。
内家三拳と言われる、形意拳・太極拳・八卦掌を簡単に解説してみました。
しかし蛇足を覚悟で言えば、
「三拳の特徴」ですが、これはあくまで特徴の大きな部分であって、全てではありません。
例えば太極拳にだってカウンターはありますし、形意拳でも相手のサイドに回る技術は使われます。
なので、上記の解説は技術全てではなく、それぞれの拳法の考え方を説明したものだと理解して頂ければ宜しいかと思います。
因みに“内家”とは、外家(出家者=僧侶)に対する“一般の人(在家者)”を指し、
“出家者でない人々の武術”という意味です。
少林武術は仏教思想を持ち、内家拳は道・儒教思想を持つとされます。
(中国武術で有名な少林寺は禅宗寺院です。)